バラのアロマセラピー
薬用バラの代表的なものは、北ヨーロッパの代表的野生種であるロサ・ガリカ・オフィシナリス、ブルガリアやモロッコのロサ・ダマスセナ、南仏で栽培されているロサ・センチフォリアなどです。香料として優れている品種はそのまま薬用にも用いられてきました。東洋でもロサ・ムチルフローラ(ノイバラ)、ロサ・ルゴサ(ハマナシ)など、古くから薬用として用いられてきました。
アロマセラピー(芳香療法)とは、精油を体内に吸収させる方法(飲用、塗布、吸入、他)で、香りが生理心理面に有用な効果を及ぼす伝承的な精油療法として古くから人々の生活に密着し、活用されてきました。
ヨーロッパでは、日本で家庭薬として使われる漢方薬のように扱われ、そのなかで適用や用法が経験的に築きあげられました。国によっては医師による精油の処方がされることもあり、医学的証明や近代研究されているものが少ないとはいえ、その効果、効用は注目すべきであるといえるでしょう。
主なバラの効用
処方
抗鎮静剤、炎症薬、防腐薬、消毒薬、鎮痛薬、催淫薬、収斂剤、胆汁分泌薬、浄化剤、通経済、肝臓薬、緩下剤、鎮静剤、脾臓薬、健胃剤、強壮剤、子宮薬
適用
胆嚢炎、結核炎、便秘、抑鬱症、欝病、不感症、頭痛、肝臓の鬱血、陰萎、不眠症、月経不順、吐き気、悪心、神経緊張、結膜炎、不妊症、子宮の障害、嘔吐
バラの精油の毒性は最も低いとされ、料理や飲み物として内服されたり、化粧水やクリームとしてマッサージや塗布による摂取、芳香浴やアロマランプで吸入するなど使用方法も様々です。いずれも女性特有の病気(婦人科系、女性ホルモンに関係)や美容(皮膚バリア機能の回復)に関する効果が高いといわれ、特に女性にとってのバラの香りの重要性に注目されてきました。
「においと医学・行動遺伝」和田昌士・山崎邦朗 編著/フレグランスジャーナル社