ティーローズエレメント
バラの香りは大きく2系統からなります。一方は、いわゆる甘いゴージャスな香りのダマスク系(ヨーロッパのバラ系統)。そしてもう一方が、紅茶に似た上品で優雅な香りのティー系(中国のバラ系統)で、モダンローズ(現代バラ)に多い香りです。
この中国系のバラの持つ特徴的な香り物質は、ジメトキシメチルベンゼンという物質で資生堂の研究室(蓬田氏を含む研究チーム)が発見し、ティーローズエレメントと命名。さわやかでみずみずしい香りが特徴的で“水をまいた花屋さんの前を通った時のような香りの印象”というとわかり易いかも知れません。ティーローズエレメント物質はモダンローズ(現代バラ)のほとんどに多少なりとも含まれる成分です。
そしてこの成分が、人間の生理・心理作用に良い影響を与えていることが解明されています。
中でもティーローズエレメントは、ラベンダー、ベルガモット、ローズ精油よりも良好な鎮静効果つまりリラックス効果があると確認されています。覚醒的に働くジャスミンオイルに少量のティーローズエレメントを配合することによって鎮静側に変動することも確認されました。それは、いろいろなタイプの香料にティーローズエレメントを加えることによって、香りを損ねることなく、鎮静効果をもたらすことができるということを物語っています。
また、唾液中のコチゾールの分泌量を測定することでわかる抗ストレス効果(ストレスに対する緩和作用)を示す実験結果も報告されています。
リラックス効果に加えティーローズエレメントが持つ特徴のもう一つは美肌効果です。皮膚の免疫を司る「ランゲルハンス細胞」と脳に繋がる神経線維が、皮膚細胞と接触していることが発見され、肌と脳との繋がりに香りが大きな役割を果たしていることが分かりました。
バラの香り(ティーローズエレメントの香り)を嗅ぐことで、皮膚バリア機能の回復を促させ、皮膚を正常な状態に保つ働きがあることがわりました。
このように、嗅覚刺激が皮膚などの末梢器官にも影響を与えていることが実証されたのです。