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香りのコラム

Connect with・・・~イシュタルからのお手紙~バラの世界の魅力

春のバラの時期になりました。コロナも落ち着き、たくさんの人々がバラ園やイベントに戻ってきているようです。私も今年は久しぶりに神代植物公園のバラ園に行ってまいりました。残念ながら週末に雨が多く、見ごろを逃してしまったようでしたが、それでもいくつかの品種は綺麗に咲いていました。多くの原種は一年にこの時期しか花をつけません。会社のHPをリニューアルするのに新しい写真を!と思っていたのですが、そこはあきらめざるを得ませんでした。残念。

美しく咲き誇るバラはもちろん素敵です。格調高く高貴で凛としている王道の魅力です。しかし一方で、豊潤で甘美なエロティシズムが見え隠れする。バラの魅力はそこにもある。

女性の象徴ともいわれるバラとは、「匂い立つような艶やかさ・・・」とでも言いましょうか、そんな表現をしたくなる。まさに色香が感じられるということです。トゲのあるところも、簡単には触れさせない・・・これもまた、たまらない魅力のひとつでしょう。

なんだかドキドキしちゃいますね。

求める「美」は人それぞれです。そのあらゆる「美しい」に当てはまるバラはやはり一筋縄ではいかないのだと改めて感じます。

以前蓬田先生が出版した書籍「薔薇のパルファム」(求龍堂)の巻頭部分に、フォトグラファーの石内都さんのバラの写真が載っています。そこには、バラたちのあられもない姿の数々に圧倒されてしまいます。バラの自然な傷、枯れゆく姿もまた美しい。朽ちかけたその瀕死の姿にもなお、ある種の甘美さを感じます。突き詰めると危険な世界なのか。

美の象徴という全うな王道を当然の顔をして歩きながら、ある種独特なディープな世界観をも制してしまう。昼は淑女、夜は・・・という言葉が不覚にも頭に浮かんでしまいました。

しかしそのギャップはとてつもない破壊力なのです。真逆の世界とは、背中合わせで紙一重なのかもしれません。「美しさ」と「醜さ」とは紙一重・・・

あぁこんなことを考えていると、私の中のまた未知の扉がノックされた気がしました。いやいや、私にはまだその世界に入り込むまでの覚悟はできてない。開くのはもうしばらく後にします。

さて話は現実世界へと戻ります。

春バラは姿が美しく、秋バラは香りが美しいといわれます。春の華やかに咲き誇るバラたちの姿は、堂々と私たちの目に飛び込んでくる。屈託がない無邪気さを感じます。陰陽であればまさに「陽」の存在。

一方秋のバラを愛でる際には、人の一番原始的な感覚の嗅覚をつかい、何かを感じ取ろうとする意識が働きます。見えない部分を探ろうとする。陰陽であれば、「陰」の存在。と考えてみると、、、あぁなんだか非常にしっくりとくるのです。前述した世界観もしかりです。

なるほど、気持ちが良いのはこういうことだからか。宇宙の法則おそるべし。などと一人で納得してしまいました。また改めて、バラの香りは「スイッチ」の役目。私の中の何かを発動させてしまうトリガーだということが私の中で確かなものとなった瞬間でもありました。

香りの世界を探求していこうとするには、ここはやはりディープなバラのもう一つの世界を避けては通れない。ということでしょうか。

こうご期待!です(笑)