バラの香りを学ぶ

バラの香りとは

香りの系譜

2系統の香り

モダン・ローズ(現代バラ)は、ダマスク系(ヨーロッパのバラ)とティー系(中国のバラ)の香気が大きく影響しています。

ダマスク系の香り

ロサ・ガリカやロサ・フェニキアを起源とする華やかでコクのある甘さを特徴とする香気。

ティー系の香り

ロサ・ギガンティアやロサ・シネンシスが起源の上品で優雅なティー・バイオレットの香気。

この2系統の品種の祖先(原種・原種交雑種および、その系統種)の中でも、次にあげる8種の香りが特に重要と考えられています。

ロサ・ガリカ (Rosa gallica)とガリカ系(Gallica)
小アジア、南部ヨーロッパ、コーカサス原産で、ヨーロッパにおける園芸種の祖先と考えられている。花は、赤色から濃桃色で一重、半八重咲き。古くから薬用にされた品種であり、ガリカ系は何れも華やかな甘さの強い品種が多い。図に戻る
ロサ・フェニキア(Rosa phoenicia)
小アジア原産。現在のトルコを中心にその近隣にかけて自生地域があったとされる。白色。一重。華やかな甘さとシトラスノートがミックスし、フルーティな部分もある。葯にも匂いがあるが殆どは花弁の香りが移ったものである。図に戻る
ロサ・ダマスセナ(Rosa damascena)とダマスク系(Damask)
小アジア原産。ロサ・ガリカとロサ・フェニキアの交雑によるロサ・ダマスセナは、香料用として改良されブルガリア、トルコなどで採油されている。ロサ・モスキャータの交雑によるオータム・ダマスクとともに16世紀にヨーロッパに紹介され園芸種の基礎になったとされる。図に戻る
ロサ・アルバ(Rosa alba)
ロサ・ダマスセナとロサ・カニナとの自然交雑種とされる。薄い桃色から白色。半八重から八重。ブルガリアでは、ダマスセナの収穫後のやや高地で咲き始め精油を採ることもある。ダマスセナと類似の香気をもつが花ロウ分が多く質はやや劣る。図に戻る
ロサ・センチフォリア(Rosa centifolia)とセンチフォリア系(Centifolia)
オータム・ダマスクとロサ・アルバとの交雑種とされ、コーカサスやマケドニアが原産。淡紅から桃色。グラースやモロッコで栽培され、採油されている。最初の園芸種ともいわれ、花托にコケのようなとげのあるモス・ローズなどの変種もある。いずれもダマスク香が強い。図に戻る
ロサ・シネンシス(Rosa chinensis)とチャイナ系(China)
中国原産。庚申バラ、長春バラ、月季花などの名前があり、四季咲き性をもつことが特徴である。シネンシスには多くの品種、変種がある。ダマスク香とは大きく異なっており、全般的には新鮮なグリーン・バイオレットの香りにソフトな甘さをもっている。また、最も古い品種の1つであるシネンシス・スポンタニアは、1,3,5-トリメトキシベンゼンが主成分となっている。図に戻る
ロサ・ギガンティア(Rosa gigantea)とチャイナ系(China)
ロサ・ギガンティアは“大花香水月季”と訳され、白色からクリーム黄色で中国原産。グリーンノートとややフェノリックなスパイシー・パウダリーが強くバイオレット・ウッディー調が加味された特徴ある香りをもつ。形態的にやや異なる2種類が確認されているが、いずれも1,3-ジメトキシ-5-メチルベンゼンが主香気成分である。他にイオノン化合物やセスキテルペン炭化水素がやや多い特徴をもつ。シネンシスとの交配※によるチャイナ系は19世紀初めに英国へ導入され四季咲き性現代バラの礎となった。それらは現代バラのティーの香りに重要でその影響が大きい。図に戻る
ロサ・モスキャータ(Rosa moschata)
南ヨーロッパ、北アフリカ原産。白色。一重で房咲き。麝香バラと訳されるがスパイシーノートがやや強いダマスク系の香りでありフェニルエチルアルコールが主成分。いろいろなタイプがあり典型種としては確認されていない。図に戻る

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